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イブキ育苗日記 その5

福島への里帰りに向けた苗づくり、
今年の春に新たに親木からとってきた穂木でも育苗を始めています。

8月29日、

今回は、3月からイブキをお預けしている方のところへ伺ってきました。

場所は埼玉県さいたま市、シクラメンを専門につくられている
『笠原園芸』さんです。

00笠原園芸


広~~~い温室の片隅で、挿し木された子イブキたちは静か~に待ってました。

どうかな?
元気に育ってるかな??

・・・

01-1パーライト 苗床:パーライト

01-2赤土ピートモス 苗床:赤土+ピートモス

・・・

う~~~~ん・・・
枯れ葉が目立っていまいち元気がない。

やっぱり親木であるビッグママイブキが老齢すぎて穂木とりには向かないのかな・・
なんてったって樹齢150年ですから・・


笠原さんによれば、取り木してグンと出させたシュート(徒長枝)のように、栄養生長が旺盛な枝を育てて挿し穂にすれば発根率はぐんと上がるとのこと。
次のチャレンジはこれですね。

何よりまずはビッグママの樹勢を上げてあげないと。




いやデモ!埼玉の子イブキたちの中には何やら元気そうな葉先も!

02葉

いくつか引っこ抜いて見てみると・・

03発根

おお!ちゃんと発根してる!!
根も枯れてない!

でも・・この元気な兄弟はたったの6本だけ。


残念ながらほかの挿し穂からの発根は見られず、代わりにこんなことになってました。

04カルス

一見なにかの病気のようですが、これは「カルス」とよばれるもので、「根」でも「茎」でもない、植物組織に分化していない癒傷組織。

挿し穂が分泌する成長ホルモン、オーキシンの作用で形成されます。
残念ながら温度か湿度か、発根の条件には何かが足りなかったようです。

カルスの形成は挿し穂の切断面の保護には有効ですが、ここまでぶくぶくしてしまうと発根を阻害してしまいます。


と、いうことで
このカルスを切り落として新しい形成層を出させて、あらためて挿し直すことに。

05カルス切り落とし

切り落としすぎるとせっかく切断面につくられたオーキシンをムダにしてしまうため、微妙~なさじ加減。
とはいえ斜めに切ってみたり、ちょっと皮を剥いてみたり、何がうまくいくか分からないので色々試してみました。

06カルス断面 カルスの切断面

そして切った挿し穂は魔法の水にポン。

07水あげ


この、挿し穂をいったん水につける工程、ただの水あげのためだと思ってたら違うんですね。

挿し穂を切断すると、切り口の細胞がつぶれたり破壊されたりしますが、そのときに分泌されるポリフェノール物質は、発根を阻害してしまうもの。なので水溶性の性質をいかして水で洗い流すんだそうです。

そして今回はさらにオキシドール入り。
消毒しながら酸素が供給できる、魔法の水というわけです。




そして切り戻した挿し穂をまた土に挿していきます。

今回の土は、メトロミックスという播種用土に通気透水性確保のためのホワイトロームを1:1で配合したもの。
切り口には発根促進剤殺菌剤をブレンドした粉末をつけながら、培養土に挿していきます。

培養土もこの粉末も、
笠原さんオリジナルブレンド。

メモメモしながらたくさん勉強させてもらいました。



                 魔法の粉をつけて
08IBA
                     ↓
                  培養土に挿す
09挿し木
                     ↓
                    くり返し
10パレット2
                    完成!



そんなこんなで2パレット分の作業を終える頃には日が沈み、潅水して完了となりました。


11潅水





3月からここまで、根を出さずとも枯れずに残ったイブキの挿し穂たち、
耐性ができているのでここから発根することも珍しくないそうです。

何本が里帰りできる苗に生長してくれるかな~~




ちなみに
今回根を出していた子イブキ6本は、それぞれポットにあげてお持ち帰りです。

12おそまつ

みずほ理事長命名、「おそ松くんブラザーズ」(笑)(笑)



頑張れ!ビッグママのこどもたち!!


(佐藤 舞)



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イブキ育苗日記 その4 

2014.3.11

東日本大震災からあっという間の3年。

3月11日には、また福島県いわき市を訪問してきました。

1イブキ

約3か月ぶりに会うビッグママイブキです。
3月に入ってからの強風でいくらか枝葉を落としたようですが、全体的には現状維持、といったところでした。

でも、1年前の同時期に比べるとやや葉の色が悪いような・・
実も少ないように感じました。

子イブキたちも頑張っているけど、
やっぱりビッグママイブキも元気にしてあげたいです。



一番の原因は、やっぱりの問題かな。

イブキの所有者ご夫妻は、この場所で「息吹樹」という喫茶店を経営されています。
ビッグママイブキのまわりは喫茶店の駐車場になっていて、舗装されています。

都会の街路樹もそうだけど、枝張よりもずっと大きく張った根の上を舗装されてしまうのは、木にとってはつらいことなんです。
根っこは土壌中の水や養分を吸い上げるのが大きな役割ですが、呼吸もしています。
だから水も酸素も必要なんです。

ところが根のまわりをぎゅっと締め固められてしまうと、空気の気相が少なくなって窒息状態になってしまうのです。

でも喫茶店の大事な駐車場をなくしてしまうわけにはいかないので、コア抜きでブレスパイプでも入れるのが有効でしょうか。

イブキは海浜地に強い、とは言っても過酷な環境で耐えていることには変わりませんからね。
何とかして助けてあげたいものです・・




・・・と、
そんなことを思いながらこの日も子イブキづくりのための枝を採取。

下から見上げると、本当に大きい樹だな~と思います。

2イブキ



ビッグママの大枝切断痕の腐朽部からは
赤ちゃんイブキも顔を出してました。

5切断面から


このまま大きくなるのか楽しみだな。






さて、採取した枝葉を車に詰めて
福島から一路埼玉へ!!


今回は、
この採取した枝葉をそのまま埼玉県の笠原園芸さんの温室に届けます。
新たに子イブキづくりにご協力いただける方で、シクラメンの生産者さんです。

3笠原園芸 色とりどり!


笠原園芸のご主人、笠原勇さんにとってきたばかりのイブキの枝葉を見せると、母樹自体に元気がないから枝葉にも勢いがない、挿し木でちゃんと発根するかどうか・・とのこと。

でも、ダメもとでも何とかお願いします!!とお預けさせてもらいました。
カイヅカを台木に接ぎ木で徒長枝をとるか、根接ぎを試すのも有効かな・・と、
色々試してくださるそうです。

半分はお持ち帰りですが
生産者さんはプロですから、心強いです!!
よろしくお願いします!




 ○ ○ ○ ○ ○


ところで、今回のいわき訪問でも立ち寄りしたいわき・ら・ら・ミュウでは、こんな展示をやっていました。

4ららミュウ

「忘れたいこと 忘れられないこと 忘れてはいけないこと」



涙が出てしまいます。

震災からまる3年目、2014年3月11日の波立海岸はちょっと肌寒かったけれど、
とてもおだやかな日で、私は海を見ながらひっそりと黙祷を捧げてきました。


(佐藤 舞)


イブキ育苗日記 その3 いわき市訪問編

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イブキ育苗日記 その2


福島県いわき市から持ち帰った“イブキ”の苗づくりを始めて約3か月が経ちました。
ビッグママの元気な子ども達の、成長のようすのご報告です。

3月初め、ぎりぎり寒ざしといった時期の挿し木作業でしたが、関東が梅雨に入った5月末時点で、活着率は約半分!

01挿し木トレー



ぱっと見は葉が退色してしまっている挿し穂も、よ~く見ると先端にちゃんと緑色の新しい葉を出しているんです!

02-1発根あり

これは土に挿したイブキの小枝の切り口から、水を吸うための細根がちゃんと出てきている証拠。
子ども達、頑張っています!!



逆に先端の葉が枯れてしまった挿し穂をおそるおそる引き抜いてみると…、

02-2発根なし

やっぱり根っこは出ていない…。

葉をとりすぎたのかな、最初の水あげが悪かったのかな、挿し方が良くなかったのかな…と、慣れない挿し木に頭を悩ませちゃっておりますが、色んな方法をトライしてみて、早くコツを掴んでいきたいです。



そして1か月半ほど氷温域で冷蔵保存し、4月末に挿し木をした苗はこのとおり!

03冷蔵イブキ

青々としています。

もう少し様子を見ながら、元気そうな苗を選んで残して、育てていこうと思います。





そして!!
挿し木と同じ時期に播種をしたイブキの種が…、なんとなんと発芽しました!!

04発芽

ビッグママのクローンであることにこだわってはいませんが、繁殖方法を挿し木にしたのは、やはりイブキの発芽率の悪さからです。

3月のいわきツアーに参加していただいて一緒に現地を見られた方はきっと想像がつくと思いますが、ビッグママの足元には数えきれないくらいたくさんの種が落ちていましたよね。
だけど実生で出ていた芽はほんの2、3本。

ところが今回、みなさんが拾ってくださった種のうちの200個ほどを播種に使わせてもらったら、なんと30本も芽が出てきたのです!!

イブキの種は三重の殻に包まれていますが、これをツメで剥いてやり、裸にして播いた方の種は、発芽率が約30%でした。

05種裸の種

これにはもうみんなで大喜びです。




ちなみに現地で発芽していた実生苗は大事に持ち帰り、過保護なくらいにかわいがられながら大きくなっています。

06実生木1 2013.3.8

06実生木2 2013.4.24

06実生木3 2013.5.30



こんなふうに、苗畑ではビッグママイブキの子ども達がぞくぞくと誕生してきています。


FTNでは、みなさんの気持ちを込めた1本を育てられる「マイイブキ」制度を立ち上げ中です。
詳しくはウェブで!…だそうです。
(HPに近日up予定です☆)

ぜひ楽しみにしていてくださいね。




+ + おまけ + +

このイブキ苗畑のある鎌倉では、紫陽花が見ごろを迎えていました。

アジサイ(2)

アジサイ

アジサイカシワバ


ひとくちメモ
紫陽花を切り花にして花瓶に生ける際は、茎の先端5cmくらいをナナメに削ぎ落して、中の綿をとりだしておくとよく花もちしますよ♪



クワの実もおいしくいただきました!

桑


ごちそうさまでした♪


(佐藤 舞)

イブキ育苗日記 その1

FTNの新人樹木医、佐藤 舞です。
先日たくさんの参加者の皆様と一緒に会いに行った福島県いわき市の大きなイブキの木ですが、このビッグママの子ども達を育てる育苗担当をしています。

春の訪れを感じ始めた3月8日、あきる野さとやま自然塾の児玉理事長のご指導のもと、私たちは神奈川県の鎌倉市でイブキの育苗にとりかかりました。
今回はそのときのようすをご紹介させていただきます。


苗づくりはいわき市から持って帰ってきたイブキの小枝を使った、「挿し木」という方法をメインにすすめていきます。


まずは苗床となるトレーの準備です。
トレーひとつで4~50本の挿し木が出来ますが、今回はこのトレーを12個用意しました。

トレーの中の根やはみ出した根が根腐れを起こさないよう、半割にした竹で嵩上げをして、通気性を良くします。

鎌倉 (6)


ちょっと脱線しますが、ベテランの植木屋さんに教わった竹割りのポイントは…

 ●上(枝葉がつく方)から下(根っこの方)に向かって割ること
 ●真っ直ぐ割るため、節の曲がった部分(芽が出るところ)を通るように鉈を入れること

鎌倉 (1)2

 ●2節目まで鉈を入れたら、あとは一気に両手でパキン!

鎌倉 (3)

鎌倉 (4)

です。
「竹を割ったような性格」とはよく言いますが、この竹割り、ほんとに気持ちいいです!(笑)


嵩上げする割竹は、岐阜県産の乳酸菌堆肥で土留めをします。
この乳酸菌堆肥、機会があったらまた詳しくご紹介させていただきますが、手触りしっとり、でもさらさら、マルチにすれば夏場の草取りも不要にしてくれる、万能で優秀なヤツなんです。

そしてトレーのガタつきを抑えるため、竹の上に杉板を敷きます。
こうしないと穂を挿したときに土が割れてしまうんですね。

杉板は8面をよーく焼いて防腐処理をします。

鎌倉 (13)

木目に沿ってバーナーを当てていくと、すぐに焼き目がつくところとそうでないところがあって、不思議なほど見ていて飽きません。含水量の違いなんでしょうね。



そして苗床の土を用意します。
挿し木はどれくらい根を張ってくれるかがポイントです。
通気性と保水性を確保するため、今回は鹿沼土と、ピートモス多めの柔らかい培養土を使って2層にしました。

鎌倉 (9)



苗床を用意したら、いよいよ挿し木の作業です。
ここでまた竹の登場。
幅1cm、長さ15cmくらいの割竹を、青い皮は残して強度を保つようにしながらナイフで削いで竹串を作ります。

鎌倉 (24)

根っこは挿し穂の切り口にある形成層から作られますが、苗床に挿し穂を直接挿すと切り口をつぶしてしまうので、竹串で土に穴をあけてから挿し穂を挿すためです。
なかなか繊細な作業なんです。



そして挿し穂づくり。
ビッグママからもらってきた小枝の中から、ちょうど良い枝葉を探します。
1年目の枝に2年目の枝をちょっと残した部分を使うのですが、ビッグママの樹齢は約150年、老齢木なので1年ごとの枝の成長があまり良くありません。それでもいくつか見つくろって挿し穂をつくっていきます。

挿し穂にはまだ根がないので、葉をたくさんつけすぎても蒸散量が多くてダメ、逆に少なすぎても光合成できないからエネルギーを作れない。
難しいところですが、軸から出た葉を残して古い枝葉は落としていきます。

鎌倉 (30)2


根を出す切り口はカッターナイフでスパッと斜めに切り、しばらく水あげしてから、先ほどの竹串を使って土に挿していきます。

鎌倉 (32)

鎌倉 (35)


このとき根を出しやすくするために発根促進剤を切り口につけることもあります(「IBA処理」といいます)が、イブキの場合は不要だそうです。



そしてハウスづくり。
骨組を作ってから、水やりがしやすいようちょっと工夫してネットと厚手のビニールの2枚重ねでハウスにしました。

鎌倉 (21)

あきる野の畑に移すまで、イブキの赤ちゃんにはこの中で頑張ってもらいます。



このビッグママイブキは8mもの津波に耐えたとっても強いイブキです。
その強い遺伝子を受け継いだ子ども達ですから、いずれは福島の海岸へ里帰りさせ、海沿いの家や人、植物たちを潮風や飛砂から守ってくれるような、そんな木に成長してもらうことを目標にしています。




ところで、今回私がこの育苗をさせていただくのにあたって、同期の樹木医たちから西日本の林業試験場のイブキ育苗資料や、資材屋さんの海岸樹林化工法資料、また実際にイブキ生産をされている関西地域の方からのアドバイスなど、たくさんのお知恵をいただきました。
これから樹木医を目指すみなさま、2週間にわたる樹木医二次試験は全国にこうしたネットワークを広げる大きなチャンスでもあります!

ちなみに私は昨年FTNの樹木医受験応援講座を受講して合格しました!
 ・・・と、宣伝を入れてみました(笑)



本当にまだまだ新米の私ですが、このイブキの子ども達を大きく育てられるよう、これからも頑張っていきたいと思います!


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